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2013年2月16日土曜日

心理バリヤー

社長室、役員室という名のつく部屋で相手と交渉するケースがあったときには、相手の心理バリヤーをいかにうまく利用するかしないかで差がつくことがあります。
部屋に入るとデスクの向こうに社長がドッカリと座ってこちらを見下ろしています。この場合、社長のデスクは心理バリヤーになっています。地位が高い人ほど、大きなデスクで素材も重厚な机です。椅子のクッションも柔らかくて座りごこちもいうことありません。両脇には美しい皮の肘掛を施し、深々と身体を沈めてこちらを一瞥します。さすがにデスクと椅子が占める面積は地位に比例して広くなっているのでしょう。つまり、それだけ心理バリヤーが大きいわけです。このような人と交渉や説得に臨む場合には、相手の席まで呼ばれたのだから、きっとうまく交渉が成功するであろうという考えは捨てたほうが身のためです。なぜなら、相手の席というものは、その人のなわばりですから、そのなわばりに一歩でも踏み込むものなら、こちらが相手のペースにひきづられる危険性の方がより高くなるからです。そのうえ、相手が自分より年長となればさらに心理的にも不利になります。しかも、相手のデスクは広くてバリヤーも大きく、デスクを挟んで対峙しては、あまりにも遠く感じられるので、こちらの感情が伝わらなくなるからです。もし、相手が交渉で不利になったときには、すかさず、デスクを心理的バリアーにされてしまうからです。そこで、このような交渉・説得を始めるには、デスクを挟んで真正面の位置を取らないように心がけることです。できれば、左右のどちらかの方へ移動して相手の心理バリアーがない横の位置へ行くことができればベストです。しかし、勝手にそんなことをして相手に近づくと、相手は自分のなわばりを侵されたと思い気分を害することがあるので注意が必要です。例えば、左右に移動するにあたり、飾り付けの絵画や花瓶を褒めるような言葉を言ってそちらに近づき、興味をそちらの方向へ向けてからベストポジションをとるような行動ができれば自然な動きと解釈され、気分を害することなく、相手の心理バリアーを防ぐことができると思います。

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