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2013年2月6日水曜日

太陽と北風

太陽と北風というイソップの童話をごぞんじでしょうか。あらすじはこうです。北風と太陽が、どちらが強いかで言い争っていました。 議論ばかりしていても決まらないので、どちらか先に旅人の服を脱がせた方が勝ちにしようと決めました。そして北風が思いきり強く、 「ビューッ!」 と、吹きつけて旅人の服を脱がそうとしました。 北風ががむしゃらに吹きつけるほど旅人はマントをしっかりおさえてしまいます。次に太陽が「ポカポカ」と暖かく照らしました。一枚上着を脱ぐのを見ると、今度はもっと暑い強い日差しを送りました。「ジリジリ」と照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって服を全部脱ぎ捨てました。かくして太陽と北風の論議は決着したのです。これは人と交渉するときの心理と同じしくみです。人を説得しようとするときにはだれでもアレコレと策をめぐらしますが、相手も不利な条件を押し付けられないように警戒をして防護策を張って対抗します。そんな状況下で無理強いすれば、いらぬ反発心を呼び起こして交渉がすんなりといかなくなるのです。そこでどうするかというと、相手の「ノー」に対してあっさりと「そうですか。それではもう一度考えなおしましょう。」と好意的に自身に満ちた態度を前面に押し出すのです。それで、相手の緊張感が緩んで、改めて条件を再検討しようかという気持ちになってくれるのです。相手も拒否しているだけでは話が進まないことは十分承知しているからです。ただ、相手はいいなりにならないように警戒をしているだけなのです。交渉で重要なことは、相手の警戒心を解き、信頼できる人物であると認めさせることができれば、話はスムーズに進みます。北風のような強い圧力よりも、太陽のような暖かい人間的な魅力で人の心を動かすのです。

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